BricsCAD V22.2 の更新点:その4
3回目からの続きで、今回はV22.2 の開発関連の更新内容です。
BricsCAD は、簡易ビュアー & 3Dモデラーである 「BricsCAD Shape」 を除いて開発用の API を備えていて、独自の機能を作り込んだり、公開・販売されているものをアドオンして使ったりできるのですが、製品によって使える API が異なります。
使用可能な API
BricsCAD には BLADEという開発環境(IDE)が搭載されていて、LISP など BricsCAD で使用できるいくつかの API や環境ファイルの開発を行う事ができます。(BLADE の使い方については今後記事にしていくかもしれません。)
BricsCAD で使える API の種類について簡単に解説すると以下のようになります。
DIESEL:インターフェスのメニューマクロで使用する簡単なマクロ言語です。どの BricsCAD でも使えます。
LISP:古くからある LISP という言語の API です。どの BricsCAD でも使えます。
DCL:ダイアログ表示用の言語でどの BricsCAD でも使えます。LISP の API と一緒に使用されることが多いです。
COM: Windows の COMインターフェースを使ったAPIです。ActiveXも含みます。どの BricsCAD でも使えます。
VBA: これはエクセルマクロと言うかたちでよく使われている言語なので知っている人も多いかもしれません。BricsCAD の VBA は 7.1ベースで、PRO 以上の64bitで使えます。
BRX / TX : C++ ベースのAPIです。PRO 以上で使えます。
.NET:.NET Framework version 4.8 ベースの APIです。PRO 以上で使えます。.NET なので、VB, C#, C++等々など .NET Framework に対応している言語が使えます。
開発 API の詳細について気になる方はこちらのページにまとまっていますのでご覧ください。
ということで、V22.2 での個別の改良点は以下のようになります。
LISP の改良点
LISPファイルの読み込みが30%〜40%高速化されました。
実装の更新により Lisp およびシステムのメモリ負荷が軽減されるようになりました。
VLE 関数が早くなりました。
AutoLISPコードの実行性能が約5%〜10%向上し、合わせてガベージコレクションの回数も削減されます。
新しい組み込みの LISP Optimiser により遅い LISP コードパターンを効率的なコードに置き換えるため、パフォーマンスが 20%~2000%向上します。😆
BLADEの「再フォーマット/整形」で (entget) スタイルリストのサポートを改善しました。
Windows/Linux/MacのネイティブLisp関数として (dos_deltree) が実装されました。
以上になりますが、BricsCAD の LISP API は、他の CAD と比べて非常にパフォーマンスが良い特徴があるのですが、さらに磨きがかかってプログラムソースに手を加えなくても早くなる改良が行われました。
その他の改良点
Lisp/BRX でのクリック可能なコマンドラインオプションを特定する解析ロジックを改善して、Left (L) のような指定時だと最初の L がキーになっていたのを (L) の方をキーとして認識するようになりました。
.NET のサンプルとして測点定義の追加/取得を行うものが追加されました。
BRX / .NET で不足していた多数のクラスやプロパティが追加されています。
APIについては、不具合対応による修正や OS 毎の差の吸収をするための改善が多いので、リリースノートにある "アプリケーション"(Applications) の部分を確認してみてください。
それぞれの API で、他CADとの互換性を保つための改修も行われていたりするので、開発をされる方で問題を見つけた場合は違いについて細かく指摘したレポートを上げていただくと結構早く改善される事もあります。
また、BricsCAD は Windows だけでなく、Mac や Linux でも使えます。日本語版は V22の時点で Windows のみの提供となっていますが、他言語の Mac用 BricsCAD をダウンロードして使うことも可能です。
体験版でも開発できます!
BricsCAD の体験版は開発 API を試すことが出来ます。
AutoCAD でアドオン開発されている方、古いAutoCAD 用のアドオンが使えるCAD に移行したいという方は、BricsCAD をぜひ検討してみてください。
開発APIのサンプルとドキュメント
開発系のドキュメントはこちらで確認できます。
BricsCAD をインストールしたフォルダ内にある API フォルダに各 API のサンプルが入っています。
なお、C++ ベースの BRXでの開発については SDK を別途で入手する必要がありますので、開発者登録(無料)をしてください。
COM / LISP / .NET/ VBA は体験版だけで開発できます。
体験版は、こちらの記事を参照してダウンロード! 😊
英語ベースになってしまいますが、Bricsys のフォーラムに開発&カスタマイズ用のコミュニティもありますので除いてみてください。(登録無料です。)
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