BricsCAD V24.2 の強化ポイント
3月18日に BricsCAD V24 の最新アップデートである BricsCAD V24.2 がリリースされました。(日本語版は4月9日にリリース。)
BricsCAD のマイナーバージョンアップデートでは、不具合の修正やパフォーマンスの向上の内容が行われていますが、V24.2 では大きな更新が行われています。
この記事では、V24.2 で追加された機能や強化された機能についてフォーカスを当て、Lite / Pro / BIM / Mechanical の各製品ごとに要約としてまとめて解説します。
尚、本記事の一部のイメージは開発中の英語版となっていますので、その点はご留意ください。
コア機能(Lite/Pro)の強化
コア機能は、Lite と Pro の機能となりますが、BricsCAD BIM、BricsCAD Mechanical もコア機能が適用されますので関連する内容です。
スタートタブの強化
スタートタブに新しく Tips 通知エリアが追加されました。
これにより各情報へのアクセスが向上します。スタートタブを表示した際は、リボンメニューが表示されないようになりました。これにより、最近開いたファイルなどをより広い範囲で確認できます。
スタートタブにワークスペースの切り替えのプルダウンが追加されました。
カスタマイズされたプリンター用紙サイズのサポート強化
BricsCADは、印刷と印刷の出力の一貫性を確保するために、カスタムプリンター用紙サイズをサポートするようになりました。
これはPMPファイルの読み取り/書き込みを含みます。
[シート セット マネージャ]でのレイアウト プレビュー生成の改善
既存の図面レイアウトを新しいシートに読み込む際のパフォーマンスが向上し、シートセットをより快適に利用可能になりました。
現在の図面で非表示の図形のステータス バー表示に対応
図面内の非表示オブジェクトの存在が、BricsCADのステータスバーに直接表示されるようになり、状態を認識しやすくなりました。
名前削除機能のネスト対応 UI アクセス
[Purge]ダイアログからの操作が入れ子に対応しました。入れ子で定義されているブロックなどで複数回実行する必要がなくなります。
「ハズレ図形を探す」機能の改良
「ハズレ図形を探す」機能の改良により範囲の広い図面のパフォーマンスが向上しました。
UIの改善により、FINDOUTLIERSが使いやすくなりました BricsCAD独自のFINDOUTLIERSワークフローは、使いやすさを向上させるためにユーザーインターフェイスが改善されています。
変換されたブロック(BLOCKCONVERT)の改善
変換されたパラメトリックブロックをブロックライブラリに自動的に保存できるようになりました。
ダイレクトモデリング操作時のUXの改善
BricsCADは、ダイレクトモデリングの編集操作を支援するために一時的なグラフィックを表示します。
コマンドラインのオートコンプリート
コマンドラインのオートコンプリートは、AutoCADユーザーが BricsCAD を学ぶのに役立つようになり、コマンドラインでコマンドを入力すると、BricsCAD は適切なコマンド名が提案されます。
読み込みを高速化するための図面プロパティ管理の改善
BricsCAD V24.2 において PROPOBJLIMIT が実装され、大規模な図面のロード時間を短縮しました。また、大規模または複雑な図面でのプロパティパネルとコンボボックスのパフォーマンスが大幅に改善されました。
土木・測量機能の強化(Pro以上)
Pro に搭載されている「土木ツール」の強化点は以下のとおりです。
点群の表示パフォーマンス向上
点表示のパフォーマンスが向上し、点群のナビゲーション(ズーム、オービット、パン)が高速になりました。点の最大表示数を2倍に増やして同じパフォーマンスで表示品質を向上することもできます。
HSPCモードでの前処理速度を改善しました。
LiDAR ポイント分類用の点群カラーマップが追加されました。
強度または標高にカラーマップを適用するときに範囲外の値を非表示にするオプションが追加されました。
ユーザーは点群を透明にすることができます。
土木ポイントと TINサーフェスの編集の改善
[土木ポイント] と [TIN サーフェス] の操作をより簡単かつ直感的に操作できるように、ダイアログ ボックスが追加されました。
既存のGISレイヤーのフィールドの形式を編集する機能の追加
GISレイヤーの新規作成および既成属性の編集が簡単になりました。
GISデータの対応強化
GEOデータベース形式のインポートをサポート
[GIS インポート] コマンドが拡張され、Geodatabase 形式からの GIS データのインポートがサポートされるようになりました。shpファイル読み込みの合理化
フォルダの指定で、すでに読み込まれているファイルが通知されるようになり、読み込むファイルを指示できるようになりました。
BricsCAD BIM の強化
BricsCAD BIM の強化点は以下のとおりです。
IFCファイル対応の強化
IFC読み込みワークフローの改善:新しいIFC読み込み設定ダイアログ
IFCデータの混乱を軽減し、扱いやすくするために、新しいIFCダイアログ設定ダイアログボックスが導入されました。
インポートする図形の種類をフィルタリングすることもでき、定義済みのプロファイルからすばやく簡単にインポートする事も可能になっています。
IFC4 参照ビューのエクスポートの改善
レイヤーがエクスポートされるようになりました。
新しい梁ツールを追加
梁ツールを使用して、汎用または標準ライブラリ形状を使用して建物モデルに梁要素を追加します。
屋根ツールの強化
屋根ツールに新しいポリラインオプションが追加され、使い慣れたCADの方法から屋根を作成できるようになりました。
X Y に平行でない壁を点群にフィット
壁を点群データにフィットさせるとき、X方向とY方向に限定されなくなりました。
点群カラーマップ
より優れた視覚化: 分類と透明度に基づく点群カラーマップ表示が可能になりました。
BricsCAD Mechanical の強化点
Mechanical2D(ACM互換)機能の改善
バルーンの強化
BricsCAD Mechanical V24.2 では、既存の dwg 図面の ambom データベースと完全に互換性のある _AMBALLOON コマンドを追加。AM BOMデータベースと完全に互換性のあるバルーン注釈を作成します。
事前定義された垂直および水平配置を使用して複数のバルーンを同時に配置したり、カスタム角度の配置を選択したりすることが簡単にできます。
パーツリスト(部品表)
コマンドにダイアログ ボックスを追加して、より多くの構成、個々のパーツ一覧の編集、図面への配置を可能にすることで、AMPARTLIST ワークフローを改善しました。
表のセルの値の編集に対応しました。
パーツ一覧ごとに列を追加および削除可能になりました。
数式によって生成された値を上書きし、青い太字のテキスト形式でそれらを区別します。
セルの範囲に増分値または固定値を設定します。
挿入ポイント、ヘッダー、タイトルの行間隔によるレイアウト設定の構成。
パーツ参照
既存のパーツ参照を参照できるようになったため、手動で再作成する必要がなくなりました。これらの新しいパーツ参照は、既存のパーツ一覧と関連付けられます。
色付けとハイライト表示で パーツ参照シンボルの一時的なグラフィックを含む パーツ参照編集(_ampartrefedit)コマンドを追加しました。
パーツ参照をブロックエンティティに添付するブロックオプションを追加。
オブジェクトを別のインスタンスとしてマークする参照オプションを追加。
Mechanical 2D保存形式の対応追加
Mechanical 2Dの保存形式として、AutoCAD Mechanical 2021の形式が追加されました。
Mechanical 3D 機能の改善
BMアセンブリ検査
UI/UX が作り直され簡素化されています。
組み立て可能性の基準が大幅に強化・拡張されました。
メカニカルブラウザの改善
移動した部品を関連するステップの下に一覧表示することで、分解図の明瞭さが向上し、部品の動きの可視性が向上しました。
分解図とそのステップのコンテキストメニューを更新しました。
分解図のコンテキストメニューに「現在のステップの後に新しいステップを追加」オプションを追加しました。
分解図のコンテキストメニューの「新しいステップを追加」オプションの名前を「新しいステップを最後に追加」に変更しました。
分解図のステップのコンテキストメニューから「前として設定」オプションを削除しました。
分解図(BmExplode)コマンド
分解図を編集用に開くと、現在のステップのカスタム カメラが使用されます (設定されている場合)。そうでない場合は、分解図の既定のカメラが使用されます(有効になっている場合)。それ以外の場合は、現在のカメラが使用されます。
最終入力段階でプログレスバーを非表示にすることで、BmExplodeの明瞭さが向上し、コマンドが最終的なユーザー入力を待つ際の潜在的な混乱が軽減されました。
分解図ステップ編集(BmExplodeStepEdit)
分解図のコンテキストメニューオプション「前とマージ」は「マージ」に名前が変更されました。BmExplodeStepEditとMechanical Browserのオプションを揃えることでステップのマージを合理化し、一貫したエクスペリエンスを確保しました。
開発APIについて
この記事では追加された内容について取り上げます。
改善点などの詳細についてはリリースノートをご確認ください。
重要:C++系 API
BricsCAD の API サブフォルダで公開されている C++ API は、2つの別々の C++ライブラリファイルに分割されました。これはバイナリを破壊する変更ですので、この API を使用するプラグインは V24.2以降用にリビルドする必要があります。
Lisp 関数の追加
ある測地系から別の測地系への点または点セットの変換を容易にする地理座標変換関数へのアクセスを提供する新しい Geo LISP API を実装しました。
LISP API を拡張して、より多くの Civil TinSurface インタフェース機能を追加しました。Lisp で定義されたコマンドは、コマンドがコマンドラインで入力されたときに、同じ名前のシステム変数を上書きするようになりました。
BLADE の Lispコンソールは、BLADEの環境設定で設定されたオートコンプリート設定を尊重するようになりました。
(setpropertyvalue) 関数が拡張され、オブジェクトの Transparency プロパティを設定するときに、ユーザー向け透明度値または DXF スタイルの透明度値を受け入れるようになりました。
(vla-ConvertToStaticBlock) と (vla-ConvertToAnonymousBlock) が実装されました。
BRX/.NET 共通
不足していた GraphicsSystem.Manager メソッドがいくつか実装されました。
BIM IFC 書き出しオプションに MVD タイプの設定が含まれるようになりました。
BRX の追加
AModeler 関数として、Face::removeEdge()、Body::addFace()、Body::removeFace()、Face::removeEdge()、Face::addEdge()、Face::setEdgeLoop()、Face::setNext()、Face::setPrev()、Edge::addAfter()、Edge::remove() が実装されました。
AModeler::Vertex::transform(const Transf3d&) が実装されました。
AcDbAssocEvaluationCallback および関連する AcDbAssocManager メンバ関数が実装されました。
AModeler::Body::moveFace メソッドが実装されました。
不足していたメソッドを AcDbExtents2d クラスに追加しました。
AcDbPointCloudClassificationColorRamp が実装されました。
AcDbPointCloudDefEx が完全に実装されました。
AcDbPointCloudColorMap が完全に実装されました。
AcDbPointCloudEx::getPointDataByPointCount() で、より高度なフィルタリングがサポートされるようになりました。
.NET
Document イベント ModelessOperationWillStart と ModelessOperationEnded を実装しました。
Focused、PaletteSetDestroy、PaletteSetTitleBarLocationChange、InitializeFloatingPosition()、RecalculateDockSiteLayout() など、いくつかの PaletteSet イベントとメソッドが実装されました。
.NET API は BIMPropertySet クラスを含むように拡張され、開発者が BIM プロパティ セットに関連付けられたプロパティを作成、削除、および操作できるようにするメソッドが公開されました。
新しい Internal.DatabaseServices クラス EvalGraph、Block1PointParameter、BlockParameterPropertyDescriptorCollection、BlockParameterPropertyDescriptor を実装しました。
多数の項目を含む SelectionSet インスタンスのパフォーマンスが向上しました。
以上、BricsCAD V24.2 の強化点について解説いたしました。
強化点以外の不具合改善については、リリースノートにて詳細をご確認ください。
では、よいCADライフを!🎉