Q. BricsCADのネットワークライセンスで使用するライセンスをコントロールできますか?
A. 出来ます。
BricsCAD のネットワークライセンス(Reprise)は、ライセンスマネージャをインストールしたコンピュータに複数のライセンスを認証しておくことが出来ます。
これにより、一つのサーバーで複数のライセンスを一元的に管理できるわけですが、たとえば Lite と Pro の異なるグレードのライセンスを持っていて、あるグループに対して利用するライセンスを固定しておきたいといったことや、多数のライセンスを持っているが A の部署には設計者分のライセンスを必ず割り当てておきたい。Bの部署では貸出不可で使わせたい。と言うように運用ニーズが様々にあると思います。
このようなニーズに対しては、ライセンスマネージャのオプションファイル(.opt)と、場合によりライセンスファイル(.lic)を編集することでコントロールすることが出来ます。
利用者のグループ分けとライセンスの予約・制限について
利用ユーザのグループ分けや、ユーザやグループに対してライセンス利用の可否や数の予約などしたい場合はオプションファイル(bricsys.opt)を作成・編集して設定します。(Flexnet のライセンスをご利用いただいたことがある方であれば、同じような記述の仕方とお考えください。)
オプションファイル(bricsys.opt)の編集
よく使う設定の記述については、ヘルプセンターにあるライセンスプーリングの記事をお読みください。
リンク: ライセンスプーリング - BricsCAD | Bricsysヘルプセンター
オプションファイルで設定可能な内容について、より詳細な情報は、RLMエンドユーザーマニュアルの「The ISV Options File」の項に記載されています。
リンク: Reprise Documentation
以下に設定の例を示します。
オプションファイルの設定ケース例
社内に所有する BricsCAD のネットワークライセンスが 10ライセンスあったとします。
DesignA と OtherA のグループを作成して、DesignA に 5ライセンスを確保した形で残りは共有する運用を想定した設定をしてみます。
1.グループ DesignA に6名、OtherA に192.168.2.* 範囲の IPアドレスのグループをセットします。
GROUP DesignA userA userB userC userD userE userF
INTERNET_GROUP OtherA 192.168.2.*
2. DesignA のグループに 5シートを予約しておきます。
RESERVE 5 bricscad GROUP DesignA
3. OtherA グループは、最大5シートまで起動できるように設定します。
MAX 5 bricscad GROUP OtherA
以上のように設定しておくと、DesignA グループの6人は5シートまで同時に使え、残りの 5シートは先着順で利用できる形になります。DesignAグループのうち、一人はCADを同時に使う可能性が低いというケースではこのような感じの設定が効率的な運用になるかもしれません。
今回の場合、2と3は、どちらか一方を設定しておけば要件としては足りるかもしれません。
念のため書いておきますと、設定しておくライセンス数は所有するライセンス以上に設定しても意味はありませんのでご注意ください。
ライセンスを指定した起動について
複数のBricsCADライセンスを持っていて、それぞれのライセンスを明確に認識してコントロールしたい場合、ライセンスファイルを編集して、各ライセンスに ID を付けた利用方法を取ることが出来ます。
Lite と Pro ライセンスに対して ID を付ける例
まず、Lite のライセンスに対して、次の様になっているライセンス部分があるとします。
次のように太字部分を追記します。(_ck の前に _id=番号 を追加)
同じように、Pro のライセンスファイルに対しても IDを付けます。
次のように太字部分を追記します。(_ck の前に _id=番号 を追加)
Liteと異なる番号にしておきます。
追記したファイルを保存して、ネットワークライセンスにライセンスファイルを読み込み直しさせると、Liteライセンスが id = 1、Proライセンスが id = 2 で認識されます。
クライアントから、ライセンス ID を指定して起動する
ライセンスファイルに設定した ID(_id)を指定して、BricsCAD を起動する場合、クライアントPC の RLM_PROJECT 環境変数を使用して起動するライセンスを指定することが出来ます。
その場合、まず各 ID に対応するプロジェクト名をオプションファイルに設定しておきます。
例えば、Lite と Pro を5ライセンスずつ持っていて、全てのライセンスをRESERVE でプロジェクト名を指定して予約しておく記述は、次のようになります。
RESERVE 5 bricscad PROJECT bc_pro id=1
RESERVE 5 bricscad PROJECT bc_lite id=2
上記の設定で運用すると、RLM_PROJECT の環境変数を指定せずに BricsCAD を起動することができなくなります。
そこで、一部のライセンスを自由に起動できるようにしたいというケースでは、所有しているライセンス数以下に設定します。
例えば、Pro x4、Lite x3 シートを割り当てる場合
RESERVE 4 bricscad PROJECT bc_pro id=1
RESERVE 3 bricscad PROJECT bc_lite id=2
上記のように設定すると、使用されるライセンスの優先順に従って、Pro を1シート、Lite を2シートは、RLM_PROJECT の環境変数指定なしで起動する事ができます。
オプションファイルに設定をして、ライセンスマネージャへの読み込みが終わったら、次はクライアントPCに RLM_PROJECT 環境変数に指定して ID に対応した BricsCADを起動するようにします。
RLM_PROJECTの環境変数設定は、Windows の環境変数設定に追加しておいても良いですし、起動用のバッチファイルを作成してその都度の切り替えて使う形としてもいいです。どちらでも構いません。
CMD(.cmd)ファイルで Pro 起動用のファイルを作成した例
@echo off
set RLM_PROJECT=bc_pro
call "C:\Program Files\Bricsys\BricsCAD V23 ja_JP\bricscad.exe"
PowerShell(.ps1)で Pro 起動用のファイルを作成した例
$env:RLM_PROJECT = "bc_pro"
Start-Process -FilePath "C:\Program Files\Bricsys\BricsCAD V23 ja_JP\bricscad.exe"
RLM_PROJECT の環境変数による起動は、RESERVE 以外のEXCLUDEやINCLUDEオプションでも利用できますので、要件によって様々なバリエーションをコントロールできます。
以上、BricsCAD を少し大きな規模で本格的導入する際に、ネットワークライセンスを少し高度に運用したいケースでありがちな、グレードの混在時に役立つライセンスコントロール方法について解説しました。
では、よい CAD ライフを!