Q. BricsCAD BIM のプロパゲート機能ってなんですか?
A. オブジェクトの状態を効率よく他の同様な部分に反映させる機能です。
BricsCAD BIM の機能のうち、初見で使い方がイメージしにくい機能 No1 かもしれない「プロパゲート」の機能について解説します。
プロパゲートの意味
プロパゲート(propagate)は日本で普段生活しているとまず遭遇することのない英単語だと思いますが、辞書を引くと「伝える」、「広げる」、熟語だと「伝播」や「遺伝」といった意味があります。
プロパゲート機能のイメージはその通りの内容となっていて、BIMモデルに対して形状やプロパティなどを反映(伝播)させる機能と言えます。
BricsCAD には BIMモデルの生成機能がありますが、その機能でざっくりとしたモデルを作成したあとで、作り込みをしたモデルの詳細をプロパゲート機能を使用して、反映させていくことでモデルの解像度を上げていくような感じで、効率良く BIMモデルを作っていけるというわけです。
2D作図を長くやってきた人だと「プロパティコピーをAI的に高度にしたやつ」というとイメージしやすいかもしれません。
5種類のプロパゲート
プロパゲートには 5つのバリエーションがあり、それぞれが限られた状況下で機能していることを知っておくことが重要です。
これらの5つのバリエーション(フレーバーとも言います。)は、新規ユーザーがプロパゲートを行うプロセスをガイドするために設計されています。
プロパゲートは複合的な機能なので初めて使用する際はどう使っていいのかわかりにくいかもしれません。それぞれ具体的な使用例を想定してデザインされていて、5種類に整理することで、ツールを明確かつ簡潔に保てるように工夫されています。
アイコンになっている5つのプロパゲート機能は BIMPROPAGATE コマンドがベースとなっているので、特定のフレーバーで解決できる問題はすべて、標準の BIMPROPAGATE コマンドからでも同様に解決できます。
また、BIMPROPAGATE を使いこなせるようになるとどのフレーバーでも解決できないような課題を解決することもできるようになります。
BIMPROPAGATEの5つのバリエーションの機能的な内容は次の通りです。
BIMPROPAGATEPLANAR (平面をプロパゲート)
壁、スラブ、屋根など平面要素間の接続を伝えます。
接続部分のディティールで同じディティールで反映させたいときに使用します。壁と床や天井の納まりを同じ納まりの部屋(面)へ反映させるといった形です。
BIMPROPAGATELINEAR (線形をプロパゲート)
梁、柱、配管、ダクト、最大 1 つの平面要素など、線形要素間の接続を伝えます。
参考イメージは鉄骨ですが、柱と梁部分の詳細を同じ形に反映させることが出来ます。上下水・ガスの配管やダクト等の空調設備での利用も便利です。
BIMPROPAGATEPATTERN (パターンをプロパゲート)
単一要素または平坦なサーフェス上にある要素群を複数の場所やグリッドに伝えます。グリッド上にある照明器具、照明スイッチ、窓、空調吹き出し口、柱などを反映させる用途に使用できます。
建築の場合、通し柱と間柱など単純な行列配列にならないことも多いと思います。プロパゲートでは適用させる部分を選択できるので配列コマンドよりも柔軟に編集できます。
BIMPROPAGATEEDGES (エッジをプロパゲート)
平面ソリッドのエッジ(際)に沿って伝える用途利用します。手すり、樋、笠木・水切 などに対して使用できます。
BIMPROPAGATECORNER (コーナーをプロパゲート)
1つのノードに集まる複数の平面参照ソリッドに接続された BIM詳細を伝播します。
平面をプロパゲートと似ていますが、T字やL字に接続する部分の納まりを反映させるときなどで使用します。
プロパゲートの使い方手順
プロパゲートの一般的な流れは、「詳細ボリュームの定義」と「定義した詳細ボリュームをどこに(伝えて)適用するかの選択」という2つの大きなステップで構成されます。
詳しい手順は、ヘルプセンターの記事をご覧ください。
参考記事: プロパゲートの使用
BricsCAD BIM は dwgベースの BIMソフトとして、AIベースの機能が多数搭載されていて、マニュアル操作では時間のかかる作業を効率的に進められるようになっています。
プロパゲートの機能も生産性を高める機能として活用していただけますので是非使ってみてください。
では、よいCADライフを!🏢