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BricsCAD® のネットワークライセンス

最終更新:2024年1月

 BricsCAD には、シングルと、ネットワーク、期間契約のサブスクリプションと大きく分けて3つのライセンスがあります。今回はその中でネットワークライセンスについて解説をしていきたいと思います。


📘 BricsCAD のネットワークライセンスとは

 BricsCAD のネットワークライセンス(以下、ネットワーク版)は、ライセンスサーバーにライセンスをプールして(貯めて)おいて社内でライセンスを共有する形で使うものになります。

BricsCAD ネットワークライセンスの運用イメージ

 上の運用イメージのように、BricsCAD のライセンスサーバーとして運用するPC またはサーバーでライセンスを認証しておき、BricsCAD を使用する PC には、BricsCADをインストールしておいてライセンスサーバーを参照する設定をすることで利用可能になります。

📘 ネットワーク版を使うメリット

経済的なメリット

 BricsCAD を使用する PC が 30台あったとして、同時に使うのはせいぜい 15台位かな?と言うときに、シングルライセンスだと 30ライセンス購入しておく必要がありますが、ネットワーク版の場合は 15ライセンスを購入しておけば利用環境としては問題なく運用できると言うような、使い方ができるものになります。

 購入するライセンスの数が減れば、当然コストも減りますので費用的に嬉しい形になるわけですね。

管理面でのメリット

 主に PC を管理される方のメリットになりますが、BricsCAD を使用するときにライセンスをサーバーから取得する形になるので、それぞれの PC でライセンスを認証しておく必要がありません。
 これが何を意味するかというと、PC の故障や紛失・新しいPCのへの更新といった際にライセンスの移行処理が不要となるので、リカバリーがとても楽になるということになります。

 また、ライセンスをライセンスサーバーで一元管理することで、ライセンスの紛失や意図しないソフトウェアの不正利用を避けることにも繋がります。ライセンスの追加が必要な際もライセンスサーバーに追加で認証するだけで使えるようになるなど、管理負荷が減ることで間接的なコストメリットにも繋がります。

予算の判断材料のメリット

 ネットワーク版を使用すると、ライセンスの使用状況を記録してレポートログを取得することができます。このログデータをログ解析のツールで確認することで、追加のライセンスが必要なるタイミングや数などについて考慮するための状況を可視化できるので、必要な予算を試算しやすくなります。
ログ解析ツールの例

ローミング(借用)でネット接続外での利用にも対応

 BricsCAD のネットワーク版には、ローミング(借用)機能があり、最大30日まで一時的にライセンスをPCに借用して利用することができます。
 また、ローミング(借用)状態をキープする機能があるので、たとえば借用日数を7日間保持する設定にした場合、ライセンスサーバーに接続できる間は、使うたびに自動で7日間の借用を更新してくれます。

日数の自動更新設定

 外出先で社内ネットワークに繋げずに使用すると、BricsCAD で最後にネットワークライセンスを使用した日から7日間はライセンスサーバーに接続がなくても、ライセンスが使える形になっているというわけです。

起動時に表示されるローミング時の残り日数表示

 毎回ライセンスの借用をしなくても勝手に借用が更新される状態で使用できるので、短期の出張やワーケーション利用が多い方も借用し忘れがなくなるので安心です。😊

VDI での利用

BricsCAD を VDI環境で利用したい場合、ネットワーク版での利用であれば一定条件の元で利用できます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

BricsCAD®をクラウド VDI で利用する


📘 ネットワーク版を使うデメリット

 ネットワーク版を使用するデメリットはないの?と思った方に、挙げるとすれば次の点といえるかもしれません。

CAD利用の稼働率が高い場合コストメリットが薄い

 常に CAD を使用している人が多い組織の場合、実質的に共有するライセンスが少なくなるため、コストメリットが小さくなります。PC管理コストとのバランスで検討するといいかもしれません。
 また、常に利用する設計者には BricsCAD Pro や Ultimate のシングルライセンスを、たまにしか使わず機能も基本的なものがあれば良いという営業職の人には BricsCAD Lite のネットワーク版を用意しておくといった組み合わせでの利用も可能です。

ライセンスサーバーが必要

 ネットワーク版では、ライセンスサーバーのサービスソフトを動作させるためのコンピュータが必要になります。ライセンスサーバーのサービスソフトは、Windows または Linux 用が用意されています。(OSはクライントPCと合わせる必要はありません。)
 ライセンスサーバーは通常の PC でも動作しますが、長期的に安定稼働させる事を考えると Windows Server などのサーバーOSで使用する事をおすすめします。
 BricsCAD を使用する拠点が地方ごとにあるといった場合は、各拠点でサーバーを用意するか、あるいは VPN でネットワークを接続して各拠点からライセンスサーバーに接続できるようにする必要があります。

メンテナンス契約が必要

 BricsCAD のネットワーク版は、『BricsCAD メンテナンス』のオプションを付けて購入する必要があるので、その分の費用が必要になります。
 BricsCAD メンテナンスのオプションには、常に最新のバージョンが使えたり、現行製品を含めた3バージョン前までサポートされたりといった特典が含まれているものなので、「社内でバージョンを統一して使わせたい。」とか、「OSの更新に対処できる状態にしておきたい。」といった柔軟性を持たせられるメリットもありますので実質的には小さなデメリットではないかと思います。

Lite のネットワーク版の場合(2024年1月1日以降)

 BricsCAD Lite のネットワーク版は 2024年1月1日以降、5ライセンス単位で購入頂く製品になります。
 例えば7本欲しいとか、5本あるけど足りなくなったので3本足したいということができません。7本の例でいうと、ネットワーク 5本にシングル 2本、または2本を Pro のネットワーク版にするという混在の形。その他にシングル7本、ネットワーク を10本という形で導入を検討する必要があります。

📘 実際に導入する際の流れについて

導入する際の流れについて説明した導入ガイドを作成しましたので、導入を検討される方はご利用ください。また、検証用にライセンスの貸出も可能ですので、検討されたい方はお問い合わせください。

BricsCAD ネットワークライセンス導入ガイド(Reprise)


導入時の FAQ

  • Q. Reprise のネットワークライセンスで使用されるポートは?
    A.
    初期値は 5053, 5054 で、サーバーとクライアント両方で通信可能な状態にする必要があります。(ポートは設定で変更可能です。)
    また、ISV構成(複数サーバー)で運用する場合は、追加でサーバー間の通信用のポートが必要となります。

  • Q. Reprise のサーバーサービスは Flexnet のライセンスマネージャと同居できますか?
    A. 
    Reprise のネットワークライセンスと、 Flexnet を使用したネットワークライセンスは1サーバー内で同居可能です。
    インストールや運用については、以下の点にご注意ください。

    • サーバーの管理サービス(とツール)はそれぞれ別にインストール&設定する必要があります。

    • 通信ポートはサーバー・クライアントともに Reprise と Flexnet でそれぞれ別のポートを利用するように設定する必要があります。

    • ログファイル名が同名にならないようにする必要があります。 

  • Q. Bricsysネットワークライセンスマネージャ (RLM)はどこから入手しますか?
    A.
    下記URLからダウンロードします。
    https://www.bricsys.com/bricscad/tools/Bricsys-NetworkLicenseManager.msi

  • Q. その他の情報はありますか?
    A.

    Bricsys のヘルプセンターをご覧ください。


📘 Bricsysネットワークライセンスマネージャ (RLM)の動作環境

🔷 Windows用の RLM 対応OS:

  • Windows 10/11

  • Windows Server 2012以降 (32bit/64bit) 

※ 長期的な安定運用を考慮する場合はサーバーOSをおすすめします。
※ マイクロソフト社のサポートが終了したOS上でのご利用はお勧めしません。

🔷 Linux用の RLM 対応OS:

  • Linux ※LTS版 Ubuntu を推奨

🔷 Windows/ Linux共通の内容

  • 通信プロトコル:TCP/IP (IPv4)  ※ IPv6は未対応。

  • 使用ポート:
    TCP/UDP 5054, 5053, 動的に割り当てたポート
    ※ 初期値です。ポートは変更可能。

  • 仮想環境での運用について:
    HOSTID(Macアドレス)固定が必須です。
    複数のネットワークカードがある場合は認識順にご注意ください。

  • ストレージについて:
    Bricsysネットワークライセンスマネージャのプログラムは、小さく負荷の少ないプログラムですが、プログラムの性質上利用ログファイルが溜まっていきます。数百人以上の非常に多数の利用者でログ保存を長期間行うような運用をする場合は、数GBサイズのログになることもあり得ますので、ストレージ容量が非常に小さい環境でご利用される場合はご注意ください。

  • BricsCAD のクライアントOSについて:
    Bricsysネットワークライセンスマネージャは、同じ OS のサーバーである必要はありませんので、Mac OS で利用される場合でもご利用いただけます。


その他、BricsCAD ネットワークライセンス関連記事

以上、ネットワークライセンスの概要について解説いたしました。

不明な点がありましたらお問い合わせください。

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