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BricsCAD® のネットワークライセンス

最終更新:2024年7月

BricsCAD には、シングルとボリューム、ネットワークと大きく分けて3つのライセンス種類があり、それぞれについて永続ライセンスとサブスクリプションのタイプを提供しています。

今回はその中でネットワークライセンスについて解説をしていきたいと思います。


📘 BricsCAD のネットワークライセンスとは

BricsCAD のネットワークライセンス(以下、ネットワーク版)は、ライセンスサーバーにライセンスをプールして(貯めて)おいて社内でライセンスを共有する形で使うものになります。

BricsCAD ネットワークライセンスの運用イメージ

上の運用イメージのように、BricsCAD のライセンスサーバーとして運用するPC またはサーバーでライセンスを認証しておき、BricsCAD を使用する PC には、BricsCADをインストールしておいてライセンスサーバーを参照する設定をすることで利用可能になります。

📘 ネットワーク版を使うメリット

経済的なメリット

BricsCAD を使用する PC が 30台あったとして、同時に使うのはせいぜい 15台位かな?と言うときに、シングルライセンスだと 30ライセンス購入しておく必要がありますが、ネットワーク版の場合は 15ライセンスを購入しておけば利用環境としては問題なく運用できると言うような、使い方ができるものになります。

購入するライセンスの数が減れば当然コストも減りますので、費用的に嬉しい形になるわけですね。

🔵 Lite のネットワークライセンス注意点(2024年1月1日以降)

BricsCAD Lite のネットワーク版は 2024年1月1日以降、5ライセンス単位で購入頂く製品になります。
例えば7本欲しいとか、5本あるけど足りなくなったので3本足したいということができません。7本の例でいうと、ネットワーク 5本にシングル 2本、または2本を Pro のネットワーク版にするという混在の形。その他にシングル7本、ネットワーク を10本という形で導入を検討する必要があります。

管理面でのメリット

主に PC を管理される方のメリットになりますが、BricsCAD を使用するときにライセンスをサーバーから取得する形になるので、それぞれの PC でライセンスを認証しておく必要がありません。

これが何を意味するかというと、PC の故障や紛失・新しいPCのへの更新といった際にライセンスのアクティベーション解除や移行処理が不要となるので、クライアントPCのリカバリーがとても楽になるということになります。

また、ライセンスをライセンスサーバーで一元管理することで、ライセンスの紛失や意図しないソフトウェアの不正利用を避けることにも繋がります。ライセンスの追加が必要な際もライセンスサーバーに追加で認証するだけで使えるようになるなど、管理負荷が減ることで間接的なコストメリットにも繋がります。

予算の判断材料のメリット

ネットワーク版を使用すると、ライセンスの使用状況を記録してレポートログを取得することができます。このログデータをログ解析のツールで確認することで、追加のライセンスが必要なるタイミングや数などについて考慮するための状況を可視化できるので、必要な予算を試算しやすくなります。
ログ解析ツールの例

「RLMライセンス管理バンドル」を使用すると、ログファイルからCSV形式である程度整理された情報を取得できます。そのファイルを Excel などの表計算ソフトで加工すれば日計やユーザごとの使用時間などを集計できます。

CSVファイルを元に MS Excel で ピボットテーブルを使用して
集計したものをグラフ化した例

ローミング(借用)でネット接続外での利用にも対応

BricsCAD のネットワーク版には、ローミング(借用)機能があり、最大30日まで一時的にライセンスをPCに貸し出しする形で利用することができます。

また、ローミング(借用)状態をキープする機能があるので、たとえば借用日数を7日間保持する設定にした場合、ライセンスサーバーに接続できる間は、使うたびに自動で7日間の借用を更新してくれます。

日数の自動更新設定

外出先で社内ネットワークに繋げずに使用すると、BricsCAD で最後にネットワークライセンスを使用した日から7日間はライセンスサーバーに接続がなくても、ライセンスが使える形になっているというわけです。

起動時に表示されるローミング時の残り日数表示

毎回ライセンスの借用をしなくても勝手に借用が更新される状態で使用できるので、短期の出張やワーケーション利用が多い方も借用し忘れがなくなるので安心です。😊

VDI での利用

BricsCAD を VDI環境で利用したい場合、ネットワーク版での利用であれば一定条件の元で利用できます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

BricsCAD®をクラウド VDI で利用する


📘 ネットワーク版を使うデメリット

ネットワーク版を使用するデメリットはないの?と思った方に、挙げるとすれば次の点といえるかもしれません。

CAD利用の稼働率が高い場合コストメリットが薄い

常に CAD を使用している人が多い組織の場合、実質的に共有するライセンスが少なくなるため、コストメリットが小さくなります。PC管理コストとのバランスで検討するといいかもしれません。

また、常に利用する設計者には BricsCAD Pro や Ultimate のシングルライセンスを、たまにしか使わず機能も基本的なものがあれば良いという営業職の人には BricsCAD Lite のネットワーク版を用意しておくといった組み合わせでの利用も可能です。

ライセンスサーバーが必要

ネットワーク版では、ライセンスサーバーのサービスソフトを動作させるためのコンピュータが必要になります。ライセンスサーバーのサービスソフトは、Windows または Linux 用が用意されています。(OS はクライントPCと合わせる必要はありません。)
詳しい環境は後述の動作環境をご覧ください。

ライセンスサーバーは通常の PC でも動作しますが、長期的に安定稼働させる事を考えると Windows Server などのサーバーOSで使用する事をおすすめします。

BricsCAD を使用する拠点が地方ごとにあるといった場合は、各拠点でサーバーを用意するか、あるいは VPN でネットワークを接続して各拠点からライセンスサーバーに接続できるようにする必要があります。

メンテナンス契約が必要

BricsCAD のネットワーク版は、『BricsCAD メンテナンス』のオプションを付けて購入する必要があるので、その分の費用が必要になります。

BricsCAD メンテナンスのオプションには、常に最新のバージョンが使えたり、現行製品を含めた3バージョン前までサポートされたりといった特典が含まれているものなので、「社内でバージョンを統一して使わせたい。」とか、「OSの更新に対処できる状態にしておきたい。」といった柔軟性を持たせられるメリットもありますので実質的には小さなデメリットではないかと思います。

📘 実際に導入する際の流れについて

ネットワーク版を導入する際の流れについて説明した導入ガイドを作成しましたので、導入を検討される方はご利用ください。また、検証用にライセンスの貸出も可能ですので、検討したい方はお問い合わせください。

BricsCAD ネットワークライセンス導入ガイド(Reprise)



❓️ 導入時の FAQ ❓️

Q. ネットワークライセンスはインターネット接続しないと使えませんか?

A.
クライアントPCは、通常 LAN内にあるライセンスサーバーへのアクセスができればいいので、必ずしもインターネットアクセスが必要になるわけではありません。ライセンスサーバーについては、ライセンスアクティベーション時にインターネット接続されていると簡単にオンライン認証できますが、手動での認証を行う場合は、サーバー自体のインターネット接続は不要です。

Q. Reprise のネットワークライセンスで使用されるポートは?

A.
初期値は 5053, 5054 で、サーバーとクライアント両方で通信可能な状態にする必要があります。
(ポートは設定で変更可能です。範囲の指定はありません。)
また、複数サーバーで運用する場合は、追加でサーバー間の通信用のポートが必要となります。

Q. TCP/UDP 両方のポートを開けておく必要がありますか?

A.
はい。両方開けて下さい。

Q. ネットワークライセンスのオンラインアクティベーションを行う場合に気をつけることは?

A. 
ファイアーウォールをご利用の場合は、アクティベーション時に一時的にファイアーウォールを無効にするか、ファイアウォールにポート80 と URL( URL: license.bricsys.com/actpro ) の例外を作成した状態で認証して下さい。オンライン接続がない場合は、手動でのアクティベーションを行います。

Q. Reprise のサーバーサービスは Flexnet のライセンスマネージャと同居できますか?

A.
Reprise のネットワークライセンスと、 Flexnet を使用したネットワークライセンスは1サーバー内で同居可能です。
インストールや運用については、以下の点にご注意ください。

  • サーバーの管理サービス(とツール)はそれぞれ別にインストール&設定する必要があります。

  • 通信ポートはサーバー・クライアントともに Reprise と Flexnet でそれぞれ別のポートを利用するように設定する必要があります。

  • ログファイル名が同名にならないようにする必要があります。

Q. Bricsysネットワークライセンスマネージャ (RLM)はどこから入手するのですか?

A.
下記URLからダウンロードします。
https://www.bricsys.com/bricscad/tools/Bricsys-NetworkLicenseManager.msi

Q. サーバーを冗長構成で運用可能ですか?

A.
可能です。Repriseでは、フェールオーバー サーバにて冗長構成を構築できます。

フェイルオーバーサーバーをアクティブ化するには、ライセンスファイルが Bricsys によって署名されている必要があります。そのため、署名されたファイルを準備できるように、プライマリライセンスサーバーとフェイルオーバーライセンスサーバーのホストIDとIPアドレスをBricsys へ送信し、署名されたライセンスファイルの提供を受ける必要があります。

BricsCAD ネットワークライセンス導入ガイド(Reprise)または下記の記事をご覧ください。

参考記事:How to setup a network license on a failover server - BricsCAD | Bricsysヘルプセンター

Q. WAN環境で利用できますか?

A.
EULA により LAN環境での利用を許諾する事となっております。VPN での LAN環境は問題ありません。ただし、遅いネットワークの場合は Reprise のタイムアウト時間を伸ばすなどの調整が必要になるかもしれません。

Q. 放置されているライセンスを開放できますか?

A.
オプションファイルにタイムアウト設定をすることで、BricsCADを起動したままライセンスサーバーと通信されなくなったライセンスを開放することができます。

参考記事:Q. BricsCAD® のネットワークライセンスで、放置されている PC のライセンスを自動開放(タイムアウト)できますか?

Q. ライセンスサーバーで認証したライセンスを別サーバーに移動できますか?

A.
移動できます。
ただし、ネットワークライセンスの移動はライセンスの取り消しが必要となるため、頻繁に移動することは想定されていませんのでご留意下さい。

Q. その他の情報はありますか?

A.
その他の情報は、Bricsys のヘルプセンターをご覧ください。


📘 Bricsysネットワークライセンスマネージャ (RLM)の動作環境

🔷 Windows用の RLM 対応OS:

  • Windows 10/11

  • Windows Server 2012以降 (32bit/64bit)

※ 長期的な安定運用を考慮する場合はサーバーOS をおすすめします。
※ マイクロソフト社のサポートが終了したOS上でのご利用はお勧めしません。

🔷 Linux用の RLM 対応OS:

  • Linux ※LTS版 Ubuntu を推奨

🔷 Windows/ Linux共通の内容

  • 通信プロトコル:TCP/IP (IPv4)  ※ IPv6は未対応。

  • 使用ポート:
    TCP/UDP 5054, 5053, 動的に割り当てたポート
    ※ 初期値です。任意のポートに変更可能。

  • 仮想環境での運用について:
    HOSTID(Macアドレス)固定が必須です。
    複数のネットワークカードがある場合は認識順にご注意ください。

  • ストレージについて:
    Bricsysネットワークライセンスマネージャのプログラムは、小さく負荷の少ないプログラムですが、プログラムの性質上利用ログファイルが溜まっていきます。
    数百人以上の非常に多数の利用者でログ保存を長期間行うような運用をする場合は、数GBサイズのログになることもあり得ますので、ストレージ容量が非常に小さい環境でご利用される場合はご注意ください。

  • BricsCAD のクライアントOSについて:
    Bricsysネットワークライセンスマネージャは、同じ OS のサーバーである必要はありませんので、Mac OS で利用される場合でもご利用いただけます。


その他、BricsCAD ネットワークライセンス関連記事

以上、ネットワークライセンスの概要について解説いたしました。

不明な点がありましたらお問い合わせください。

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