BricsCAD®V23 製品の種類と特徴
どうも、BricsCAD(Bricsys)の中の人です。以前、BricsCAD®V22 製品の種類と特徴について記事を書きましたが、V23が出ておりますので変わった点も交えて改めて記事を掲載します。
V22 をご利用中の方は、V23 で製品の大きな方向性は変わっておりませんので、更新点をまとめた記事をご参照下さい。
BricsCAD V23 の主な特徴
BricsCAD V23 の主な特徴は下のイメージになります。
V23 ではヒントパネルなど初めて利用される方が機能の使い方を理解しやすくなる機能が追加されるとともに、新しいリボンではアイコン位置を検索できるなど使い始めやすさが向上しています。
BricsCAD の種類と利用シーン
BricsCAD V23 のCAD製品として以下のような種類(レベル)があります。
構成は V22と変わりありません。
BricsCAD Shape(シェイプ)
BricsCAD Lite(ライト)
BricsCAD Pro(プロ)
BricsCAD BIM(ビム)
BricsCAD Mechanical(メカニカル)
BricsCAD Ultimate(アルティメイト)
各製品の機能構成は下イメージを参考にしてもらうとわかりやすいかもしれません。円の外側の製品ほど機能が多くなっていて、内側にある製品機能を内包している形になります。
BricsCAD V23 各製品の特徴
BricsCAD は、2D 作図・編集に必要な機能はすべて備わっていると言っていいレベルにあります。それを踏まえた上で、各製品の特徴を説明します。
🔵 BricsCAD® Shape の特徴
BricsCAD Shape は簡単に使えるモデリングツールで無償で提供されています。DWG、DXF、SKPファイルのビュアーとしても使用することができるので、とりあえず入れておくだけでも役に立ちます。
BricsCAD Shape の特徴は以下の通りです。
✨ 無料で使えます。(Windows, Mac, Linux)
SketchUP の .skp ファイルを開けます。(Windowsのみ)
DWG・DXFファイルを読み込み・書出しできます。
STL や FBX, Collada ファイルへ書き出しできます。
ソリッドのダイレクトモデリングができます。
BIMに展開しやすい 3Dモデルを作成できます。
線や円、ポリライン、文字など簡単な 2D図形を作成できます。
📏距離を計測できます。
📷イメージをアタッチできます。
モデリングに絞った簡素なインターフェスで操作しやすくなっています。
Shape は、簡単に3Dモデリングができる製品ですが、一部 BricsCAD BIM の機能を使えるので BIM 入門ツールとしても捉えることができます。
Shape は Lite や Pro を購入しても使えますので、Lite を購入してちょっとしたモデリングを Shapeで行うという使い方も可能です。
2D設計しかやったことのない方は3D設計の感覚をつかむトレーニングにもなるでしょう。「BricsCAD公式テキスト」の書籍でも shape による簡単な家のモデリングを解説していますので、読んでみてください。
また、STL や FBX, Collada ファイルへ書き出しができる点は、3Dプリンタや 3D CGソフトとの相性のいい製品といえます。✨
Shape で2D図形からプッシュ/プル機能を使ってモデルを作り、3Dプリンタへ出力や、AR や VR で空間表示するなどで仮想と実在をつなぐテクノロジーに触れてみるのも楽しいのではないかと思います。👍
🔵 BricsCAD® Lite の特徴
BricsCAD Lite は基本的には昔からある2次元図面を描く方向けの製品といえます。AutoCAD LT や他の .dwg互換CADで低いグレードからの移行先として最初に検討する価値のある製品と言えるかもしれません。
BricsCAD Lite の機能面で特徴的な点として以下の内容があげられます。
最近の標準的な PC なら数秒で起動する軽量な動作。
(中の人のノートPCで 3, 4秒で起動します。)ハイパフォーマンスなので大きな図面データでも軽快に動作します。
AI ベースのデータ効率化・編集補助機能が使えるため、作図時間の削減やファイルサイズの削減ができます。
2D(幾何/寸法)拘束機能が使えます。
ブロックに限定されないパラメトリック機能でパラメトリック設計を簡単に導入できます。
スクリプトやメニューカスタマイズなど、AutoCAD LT で行うような簡単に使える作業効率化機能が利用できます。
高性能な LISP の API を使用した機能拡張やアドオンが利用できます。
LISP・DCL の開発環境 BLADE が搭載されていて開発が行えます。
隠線だけにかぎらずリアルな表示スタイルが利用できます。
図面比較やPDF取り込み機能などの補助機能が使えます。
図面エクスプローラで、すべての図面要素をコントロールできます。
ライセンスの種類が豊富にあります。
(シングル / ボリューム / ネットワーク / サブスクリプション(期間ライセンス))
AutoCAD LT やその他の .dwg互換CADで一番安いグレードと比べた場合、BricsCAD Lite は、性能強化が続いている高性能な LISP API を使って機能拡張できる特徴があります。また、いわゆる買い切りの永続ライセンスやネットワークライセンスが選択できるバリエーションがあり、拘束・パラメトリック機能を制限なく使用できる点が大きく異なる点といえます。
従来と同様の作業工程を行いながら、AI による補助機能でデータを軽量化したり、パラメトリックオブジェクトに自動変換して2D設計においても自然と生産性を高められる製品となっていることが一番の特徴と言えます。✨
🔵 BricsCAD® Pro の特徴
BricsCAD Pro は、Liteで行える2次元図面を作成より高度に効率化したり、3Dベースの設計の他、多くのアドオンアプリケーションのベースとして使用できるの製品です。
Pro の機能面で特徴的な点は以下の内容が挙げられます。
Lite のすべての内容を内包しています。
高度な3Dモデリング機能(ソリッド、サーフェス、メッシュ)
3D拘束とパラメトリック機能。
点群(ポイントクラウド)ファイルの読み込みができます。
(V20比で5倍ほど高速になっています。)点群関連機能が使えます。
(点群からの TINサーフェス生成 / クロップ(範囲切抜き)表示 / カラーマップ表示 / アダプティブ表示)Civil(土木)ツール機能が使えます。
(TINサーフェス、コリドーモデリング、AutoCAD Civil 3D タイプの .dwg データ認識、LandXML 読込/書出、輪郭(コンター)ラベルなど)地理情報を設定して Bing マップを表示することができます。
3Dオブジェクトも対象にした AI ベースのデータ効率化・編集補助機能が使えます。
C++(BRX / TX) や .NET、VBA などの API を使用したアドオン利用や独自の機能拡張ができます。(オープンCADプラットホーム)
アニメーションに対応しています。
(アニメーションパス / マルチパラメトリック3Dアニメーション )CAD内の表示スタイルだけでなく、高品質なビジュアライゼーションソフトと連携ができます。
別売りの Comunicator (後述)と組み合わせると、主要な機械系CAD のファイルフォーマットの読み込み・書き出しができるようになります。(Parasolid, Inventor®, SOLIDWORKS®, Catia™, STEP, Siemens NX, Creo, IGES, etc. )
BricsCAD Pro は、AutoCAD や他の .dwg互換CADと比べた場合、点群ファイルが BricsCAD のみで取り込める点や、Civil ツールで計測データを使用して地形生成と道路などのコリドーが簡単に作成できる点、高品質なビジュアライゼーションソフト(Twinmotion, Lumion, Enscape)と連携できる点、多数の様々な業種に対応しているアドオンアプリケーションが活用できる点が特徴的といえます。✨
🔵 BricsCAD® BIM の特徴
BricsCAD の BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング) 思想は、DWGプラットフォームをベースに、初期設計、BIM、製造を継続的に発展するワークフローとして統合するという、他とは異なるBIMのビジョンを元に開発されています。
つまりコンセプト設計から製造までを別々のツールではなく一つの DWGプラットフォームで実現することで、ツールを習得する時間の短縮や導入のコストを低減する効果を期待できます。
BricsCAD BIM 機能構成としては、BricsCAD Pro の汎用機能に BIM の機能が搭載されているものになります。
BIM の特徴は以下の内容が挙げられます。
Pro のすべての内容を内包しています。
IFCデータ(ifc, ifczip)に対応しています。(2x3, 4, 4x1 仕様)
BIMコンポーネントの配置が行なえます。
(壁、床、開口部、カーテンウォール、天井伏、etc)ソリッドマスモデルを床や壁などのBIMモデルにすばやく変換するクイックビルディング機能が使えます。
モデルから防火区画などのエリア分けを行う機能が使えます。
手のかかるタスクを自動化できます。
詳細レベルの適用
複数のモデルに寸法を入れられる BIMDIMENSION機能が使えます。
寸法の関連付けのロスを低減できます。
BIMPythonで効率化をはかれます。
ブロックの表示を詳細・簡易で切替えられます。
Scan to BIM (点群の3DスキャンデータからBIMデータを生成する機能)を行えます。
点群から平面パッチ&ソリッドの作成や自動線検出、自動フロア抽出機能(_POINTCLOUDDETECTFLOORS )を使えます。
BricsCAD Mechanical で作成されたアセンブリを BricsCAD BIMのコンポーネントのライブラリとして利用することができます。
MEP(機械、電気、給排水衛生設備)ツールを使えます。
H形鋼などの構造プロファイル機能からモデルを作成できます。
別ソフトの Rhino/Grasshopper と双方向で連携するコネクタが使え、柔軟なジェネレーティブデザインモデリングを行う事ができます。
Revit のファイル(.pfa, .pvt)を開けます。
Bricsysが提供している「Bricsys 24/7」というクラウドのコラボレーションサービスを使用すると、コモンデータ環境(CDE)の整備とドキュメント管理やプロジェクト管理が行なえます。
BricsCAD BIM は、比較的新しい分野のためこれまでもユーザの声を拾ったり、世相に合わせて機能を拡充したりしています。AIを活用した、プロパゲート機能などでBIMデータを簡単に作っていくことができます。(お問い合わせから頂いた要望は開発の参考にしているので一家言ある方はご意見お待ちしています。)✨
費用的に他の BIM ソフトよりランニングコストを抑えて運用できる面がありますので、組み合わせて使うということも考えられると思います。
2023年度の国土交通省「建築BIM加速化事業」の補助対象ソフトウェアにもなっておりますので、対象となる設計BIMモデルや施工BIMモデルの作成行う会社さんは導入の助けとなります。
BricsCAD BIM の機能がどんな感じなのか見たければ、BIMアカデミーの動画を一通り見てみる事をオススメします。✨
🔵 BricsCAD® Mechanical の特徴
BricsCAD Mechanical は、インテリジェントなメカニカル デザイン プロセスを実現した製品で、2Dスケッチからの3Dパーツモデリングや、3Dパーツやアセンブリから図面ビューを自動作成して寸法や注釈を付けた詳細ビューを簡単に作成することができます。3Dモデルの変更に合わせたビューの更新にも対応しています。
機能構成としては、BricsCAD Pro に機械設計の機能がプラスされている製品です。Mechanical の特徴は以下の内容が挙げられます。
Pro のすべての内容を内包しています。
AI によるパーツのパラメタライズ機能が使えます。
3Dモデルから、2Dのベースビュー, 投影ビュー, 断面ビュー, 詳細ビューといったモデルと連携する作図ビューを生成する図面化機能が使えます。
板金機能(板金変換、板金の展開)が使えます。
自動調整バルーン機能が使えます。
複数の部品表(BOM)を管理する機能が使えます。
トレース線付きの多軸分解図作成とアニメーション機能が使えます。
パラメトリック標準部品:800以上の異なるタイプのコンポーネントからなる、30,000種の標準メカニカルコンポーネントのライブラリが使えます。
AutoCAD Mechanical タイプの dwg データを認識できます。(すべてのタイプに対応しているわけではないので体験版で確認してください。)
BricsCAD Mechanical は、基本は 3Dベースで設計をしていく形の製品でしたが、V23では、AutoCAD Mechanical データへの対応が強化され、2D機械設計の資産を活用しやすくなっています。✨
🔵 BricsCAD® Ultimate の特徴
BricsCAD Ultimate はいわゆる全部入りの製品で、ここまでで紹介した shape / Lite / Pro / BIM / Mechanical、全ての製品の機能を使うことができます。BIM と Mechanical、建築と製造を統合的に扱う高度なエンジニアリングワークフローを実現したいという用途に適しています。
費用的に Pro+BIM、Pro+Mechanical、BIM+Mechanical を別々で購入するより安価になっている点や、統合的なUIも実装され別々の製品を起動せずにワークスペースの切り替えだけで設計を行える点が特徴といえます。✨
設計プロセスと生産までのワークフローを一つのソフトウェアとデータをベースに行ような仕組みづくりが出来るため、コストメリットだけでなく、生産性の面での大きなメリットを享受することが可能な製品です。
体験版は Ultimate の状態で試用できるので、すべての機能を試しつつライセンスレベルを切り替えて個々の製品の機能を検証することができます。
🔵 Comunicator for BricsCAD®
ここまでで説明した製品とは別に Shape / Lite 以外に対応したアドイン製品として、Communicator for BricsCAD® (コミュニケータ)があります。(* Ultimate にも含まれていません。)
コミュニケータは、主に他社の機械設計向け CAD ソフトのファイルを変換するコンバータで、導入すると BricsCAD のインポート、エクスポートの機能からメジャーな機械系のファイル(Parasolid, Inventor®, SOLIDWORKS®,Catia™, STEP, Siemens NX, Creo, IGES, etc.)を扱うことができるようになります。
対応するファイル形式の詳細は、コミュニケータのページ、やこちらの記事で確認できます。
BricsCAD V23 の拡張性
BricsCAD は、各種のカスタマイズや開発用の API が豊富に提供されていることも特徴的です。
各種 API は細かなアップデートに合わせた強化も行われており、カスタマイズベースとしてBricsCADが選ばれる理由の一つとなっています。
設計・製造の全般にわたって活用される BricsCAD
それぞれの製品は LiteからPro、Pro から BIM など最初の方に掲載した製品機能構成イメージ のより外側の製品へ移行していくことができます。(同一バージョン内でのアップグレードは差額+α の費用です。)この流れがあることで、2D から 3D、各業種に特化した活用、コンセプトから設計、製造、ファシリティマネジメントなど、それぞれのシーンにマッチした使い方ができるようになっています。
単純にコンピュータ上で図面を作成する仕事からの脱却を模索するのであれば、BricsCADの製品シリーズと組み合わせで活用できる多数のアプリケーションでより生産性の高い環境を構築できます。
また、価格的に AutoCAD® よりも維持費が安いわりにできることが多いという、価値+コストメリットという点も、BricsCADが選ばれる点です。
Bricsys のコンテンツに国内外の導入事例がたくさん出ています、自動車、建材、プラント、建築、土木、船、機械部品、等々多岐にわたる業種で利用されているため、参考にしてみてください。
各製品の価格は、こちらのページをご覧ください。
ライセンスの種類
BricsCAD の各製品には、シングル・ネットワーク、永久ライセンス、サブスクリプションなどのライセンス・オプションがあり、運用スタイルによって選択することができます。
ライセンス・オプションについては、こちらの記事をご覧ください。
では、良い CADライフを!👍
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